このドキュメントは何?
これは僕がLINE株式会社(現:LINEヤフー)において、開発組織のマネジメントの基本方針を決める際に参考にしたリソースをまとめたドキュメントです。
もともと前職のチームメンバー向けに書いたものを一般公開できるようにリテイクしているので、わかりにくいコンテキストがあるかもしれません。
色々参考しながら当時の開発組織にフィットする方針を検討していたのですが、結果的には「失敗そのものを無くせないなかで、コストの高い失敗によって再度の失敗ができない状況に陥ることを回避する」という基本方針に着地しました。
また、個々のアクションプランの決定においては「買い戻せないリソースは”時間”だけ」という思想で具体策を検討していました。
以下のリスト内のコンテンツは、僕自身が上記の考え方の強化・実践につながった書籍やウェブサイトです。
書籍
書籍名 | ポイント |
LeanとDevOpsの科学 | ソフトウェア開発の中で成否を判断するために何を計測すべきか、が詰まっている。 2010年代あたりからソフトウェア開発において大切だよー、と経験主義的に言われていたことが、大規模調査を経てビジネスにおける競争優位性に対して相関があると証明された。 逆に「特定の状況下では、例えばコードフリーズなどの手法が重要なメトリクスに対して有効ではなかった」という点において重要な書籍。 長いからA.1に書いてあることとかFour Keysとか言われてることが重要なんだなって思っておけば多分大丈夫。 |
失敗の本質 | 僕が失敗事例に対して分析的な視点を持つようになったきっかけとなった書籍。 太平洋戦争における日本軍の凄惨な戦闘が、上官の虚栄心/思い込み/希望的観測といったバカみたいな要因が背景にあった、という分析。 ライブドア事件などを経験した出澤さんが、この本を何かのコーナーの推薦図書にしていた点も趣深い。 |
陽明学 | わかるとはできるということ / できるとはわかるということ |
ブルシット・ジョブ | |
星系出雲の兵站 | 基本的に自分の趣味。 異星人との接触に際した未来の人類がモチーフのSFフィクション小説。 「予期せぬ状況の中で不確実な要素に向き合わないといけない組織を描いた群像劇」と捉えると、日々の仕事っぽいなーと思った |
本当の勇気は「弱さ」を認めること | 同僚のメンターの推薦図書 |
問いかけの作法 チームの魅力と才能を引き出す技術 | |
プロダクト・レッド・オーガニゼーション | BtoBtoC のモデルをやっていく中で、BtoB → BtoC の順番で進めていかないといけなかった。 その際にこの本が役に立った。 |
ライト、ついてますか 問題発見の人間学 | コストの高い失敗の要因の一つは問題設定自体の間違いだなと思った |
PLG プロダクト・レッド・グロース | |
リーダーの仮面 | 全面的に賛同はしないが参考にはなった |
オブジェクト指向UIデザイン | 上野学先生の本。Twitterもフォローしてる |
UXライティングの教科書 | |
プロダクトマネジメントのすべて | すべてすぎて中でもどれが重要か分かりにくかった。ひとまず教養。 |
ジョブ理論 | |
KPI大全 | |
「できる人」が使っている38のアサーティブな言い方 気まずくならない!自己主張のしかた | お世話になってるカウンセラーに読めって言われた。 |
NO RULES(ノー・ルールズ) 世界一「自由」な会社、NETFLIX | 失敗を詳らかにするカルチャーは好みが分かれると思うけど個人的にはめっちゃ賛同。 |
良い戦略、悪い戦略 | 結構みんなにおすすめしてる。第5章だけ読めばいいと思う |
THE MODEL | モダンなセールス組織の概念 |
さよなら、インタフェース -脱「画面」の思考法 | |
起業の科学 | ” アマゾンやフェイスブックのような『大成功するスタートアップ』を作ることは アート(芸術)かもしれません。でも、この本で示した基本的な型を身につければ 『失敗しないスタートアップ』は高い確率で実現できるのです。” |
リーン・スタートアップ | 起業の科学と近いことを言っている。 同年代にこの2冊が出版されたことが印象的だと感じた。 |
OKR(オーケーアール)クリスティーナ・ウォドキー | OKRは個別の組織ごとにローカライズされてることが多い。だからこそどんな背景で誕生した概念なのかを理解しておくと良い。 |
エンジニアリング組織論への招待 | プロダクトマネジメントに関わる人の課題図書だと思う。 特に組織を改修しようと思ったら読むべき本。 |
Airbnb Story | スタートアップの成功ストーリー。サイコーにブチ上がった。僕もこうなりたい |
ユニコーン企業のひみつ | Squad 開発組織の考え方のベース |
リーン顧客開発 | プロダクト開発においてリソース(人/物/金/時間)を大規模に投資する際には、これを実践してもらうようにしていた。 |
リーダーの作法 | 新任リーダーへのおすすめの一冊 |
ストーリーとしての競争戦略 | MIXIの経営に活かされていた考え方。 戦略の骨子はロジカルさと同時に、アラティブな要素も重要なのだと思った。 |
ウェブサイト
組織 / プロダクトマネジメント / マーケティング の領域で何度か読んだ気がするメディアをピックアップ。
- COTEN RADIO | 歴史を面白く学ぶコテンラジオ | 株式会社COTEN https://coten.co.jp/services/cotenradio/
- 当然ではあるが、僕が悩むことは歴史上の誰かがすでに考えて実践してるんだな、という再発見
- コミュニケーション能力の正体と「カレー作りの寓話」 – Qiita https://qiita.com/hirokidaichi/items/355b5534746363130e61
- 広木大地さんのファンなので基本的に影響を受けてると思う
- 半年で40kg痩せた!ダイエットでわかるリーンなプロジェクトマネジメント手法 – Qiita https://qiita.com/hirokidaichi/items/9422841b5972b3a5664c
- ダイエットに関心のある方は要チェック。副次的な効果として「効果的なプロジェクトマネジメント手法」に関する知見が得られる記事。
- (何度か広木さんとは会ったことがあるが、本当にめっちゃ痩せてた)
- 18-E-5_Uzabase_高山温_デブサミ登壇資料 – Speaker Deck https://speakerdeck.com/uzabasetech/18-e-5-uzabase-gao-shan-wen-debusamideng-tan-zi-liao
- この割り切り方が賢い
- 「高速かつ安全に開発できるエリート組織はすべての指標が高い→ 極論、どれか一つだけを定点観測すれば十分では?」
- 「MTTR(=復旧速度)や失敗変更率は定点観測には向かない」
- この割り切り方が賢い
- Steve Yegge の Google とプラットフォームに関するぶっちゃけ話を訳した(前編) https://anond.hatelabo.jp/20111018190933
- ソフトウェア開発で結構有名な増田。翻訳元の投稿がベースになって書籍が出ていた気がする。
- ブルックスの法則 – Wikipedia https://ja.m.wikipedia.org/wiki/ブルックスの法則
- 古典。
- 新たに投入された開発者が生産性の向上に貢献するまでには、時間がかかる。
- 人員の投下は、チーム内のコミュニケーションコストを増大させる。
- タスクの分解可能性には限界がある。
- 古典。
- イーロン・マスクのロケット製造5つのステップがサイコーだった https://jabba.cloud/20210807-elon-musk
- 「間違わない」ではなく「すでに間違っていて、それを減らす」という思想が参考になった。
- Why Japanese Web Design Is So Different – Cultural, Linguistic & Technical Factors – Randomwire https://randomwire.com/why-japanese-web-design-is-so-different/
- ブーバ/キキ効果 – Wikipedia https://ja.m.wikipedia.org/wiki/ブーバ/キキ効果
- 例えば「アイコンとテキストの関係性が適切か」とか「概念と名前が一致しているか / 違和感がないか」みたいことには、一般的にIAの範疇な気もするけど、心理学からのアプローチもあるのかと思った。
- 「悪いやつをAIで予測する」のがなぜいけないか – yhara.jphttps://yhara.jp/2021/06/23/ai-ethics
- ユーザーを予測する/セグメント分けする際に思い出したい。確か初期の Apple Card の与信でも同じ問題があった。
- PayPay100億円還元策の舞台裏 「景表法の限界」に挑め:日経クロストレンド https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00159/00003/#loginBack
- 「ばら撒いた結果、成功した」みたいなレベルで理解されがちだが、それ以前に小規模な試作や失敗から確証を得た上で実行していた、という話。
- 顧客のBurning needsを解決する | chikathreesix https://chikathreesix.com/post/burning-needs
- 「あの池の水を飲むと年齢性別関係なく神様の子を孕む(寄生虫によって腹水がたまる)」など、科学的な根拠のある伝承に興味があるので教えてください – Togetter https://togetter.com/li/1648734
- 「ホモサピエンスはストーリーでしか現象を理解できない説」「受け入れやすいストーリーであることが、正確であることよりも認知フェーズにおいて重視される説」「Rawデータで渡しただけでは共通認識を作れない説」みたいな話を最近よく聞く。その一例だなと思った。
- 裏を返せば、人間は原理を理解していなくても行動を変えられるんだとも思った。
- 「ホモサピエンスはストーリーでしか現象を理解できない説」「受け入れやすいストーリーであることが、正確であることよりも認知フェーズにおいて重視される説」「Rawデータで渡しただけでは共通認識を作れない説」みたいな話を最近よく聞く。その一例だなと思った。