おもしろ仕様マニアの僕が、仕組みとして面白いな〜と思ったのが「トランプ元大統領の規制廃止を目的とした2:1のルール」。
(廃止された規制の内容はさて置いておき…)
ざっくり内容を説明すると、1つ規制を導入する際は2つ以上の規制廃止しなくてはいけないという役人向けの仕組み。
できた背景
このルールは役人が置かれている状況を知ると、より味わい深いです。
そもそも法案をつくる役人には「規制をつくること」にインセンティブ(=出世につながる)はありますが「減らすこと」にそれがありません。
むしろ規制を廃止することは、その規制を作った先輩役人のメンツを潰すことと同義です。なので彼らは規制の廃止が嫌いです。
どのように作用するか
そんな状況で誕生した2:1のルール。このルールのうまいところは
- 規制を廃止して新しい規制を作らなければ自分が出世しない
- 規制廃止によって先輩の反感を買う
の2つを現役の役人に天秤にかけさせる点。
「先輩の反感を買いたくないけど、何かを廃止してでも自分も規制法案をつくらないとキャリアが積み上がらない。であれば廃案をして自分の法案を通すしかないか…。」みたいな役人の葛藤が想像できます。
結果
トランプ元大統領の目的は「規制を減らすこと」です。そして実際に当初の目的通り多くの規制法案が廃止されました。皮肉なことに増やす側に減らす手伝いをさせたわけです。
減らすことは難しい
以下の記事でも書いたのですが、集団において基本的にルールは増え続けるものです。
今回のようにルール自体が「誰かの成果物」である場合、無くそうとすると誰かに強く反発されます。無くすことがより難しくなるのです。
そういった「無くすことの反発」を誰かに肩代わりさせる、という点で見ても「2:1のルール」はよくできています。
*この法案の功罪について意見・評価するつもりはありません。